愛はすべてをこえて
- Hiroko
- 2021年10月30日
- 読了時間: 3分
執筆者:Hiroko
大切な人にプレゼントしたい本は案外少ない。
友人が悩んでいると、元気を出してもらうためご飯やお酒をふるまうことがあるが、私の場合は本をプレゼントすることも多い。
恋愛の悩み、仕事の悩み、子供の悩み...悩みの種類によってどの本を贈るか考えるのだが、このシリーズは、老若男女、ジャンルを超えて悩みを救ってくれる。

『アミ 小さな宇宙人』には、人生で大きな壁にぶつかった30歳のときに出会った。
どうしようもなく心が弱っていたとき、読んでみてと友人が勧めてくれた本だ。
この頃の私は公私ともに問題続きで疲労困憊し、ひねくれて世間を見ている時期だった。何かにすがりたくて、安心させてくれるモノを探していた。
宇宙人のアミという少年が、地球人の男の子と友達になり宇宙旅行をする話らしい。
さくらももこさんのイラストということもあり、ファンタジー小説なのか?
今までフェティッシュや哲学要素の強い変に小難しいものばかり読んできたので、自分には合わないのではないかと思った。
ところが読みはじめると見事に期待を裏切ってくれた。一晩で一気に読んだ。
最初から最後まで、私の求めていた言葉がぎっしり詰まっていた。
何度も目頭が熱くなり、読み終わる頃にはすっかり心が洗われたていた。
理想論が誰かを救うこともある
宇宙人アミが地球人の男の子ペドゥリートとコンタクトをとるなかで、宇宙の基本法を伝えていく。
愛とは何か
幸せとは何か
平和とは何か
それはどれもごくシンプルだ。
愛とは自分を愛すること。使命は楽しく充実した人生を生きること。ハプニングは自分自身への挑戦。いまの地球は愛と科学のバランスが科学に向きすぎているから、愛の力でバランスをとるべきであること。
アミのいう宇宙の基本法は、
「神とは愛で唯一無二の存在であり、神の前ではみな平等である」
というキリスト教の訓えがベースになっている。
日本はやおよろずの神と言われるように、たくさんの神がいて自然にもモノにも神が宿るという思想がベースになので、人によってはアミの言葉は新鮮に映るかもしれない。
しかも、これらは究極の理想論だ。
命令しないし組織もない。法律もお金もない世界。
理想の世界と現実のギャップは大きいが、アミの説く宇宙の基本法は、コロナ禍で様変わりした今こそ読むべきなのかもしれない。
「好きということはひとつの愛のかたちだ。愛がなければ楽しみもない。」*1
「愛が幸福にむかう唯一の道」*2
「ちょっとでいいから考えることをやめてごらん。幸せになれるよ。」*3
理想論がどん底にいる誰かを救うこともある。
当時の私は、アミの理想の世界を読むことで救われたのだ。
ーーー
『アミ 小さな宇宙人』は3部作ある。現在はどれも手に入りにくい状態で新品はどこの書店も売り切れ。Amazonでは古本が10倍に近い値になっている。
2021年11月1日の段階では、電子書籍の販売もされていない。
見つけたらぜひ手にいれて読んでみてほしい。
引用元:*1,2,3 徳間文庫『アミ 小さな宇宙人』エンリケ・バリオス
徳間文庫『もどってきたアミ』エンリケ・バリオス
徳間文庫『アミ3度めの約束 愛はすべてをこえて』エンリケ・バリオス
石原彰二 訳・さくらももこ 絵
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