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フェミニストは、お好き?

  • 執筆者の写真: Hiroko
    Hiroko
  • 2022年9月8日
  • 読了時間: 3分

更新日:2022年10月20日

執筆者:Hiroko


世界の文学賞を総なめにしているナイジェリア出身の女性作家がいる。

彼女の名は、チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ


1977年にナイジェリア南部のエヌグで生まれ、19歳で奨学金を得てアメリカ留学のため渡米し小説を書き始める。

2001年、短編『You in America』(邦題:『アメリカにいる、きみ』)が様々な賞にノミネートされオー・ヘンリー賞を受賞する。

2002年、ナイジェリア内戦が背景の長編ラブストーリー『半分のぼった黄色い太陽』ではイギリスで最も権威ある文学賞の一つとされているオレンジ賞を最年少で受賞。

2013年、ヨーロッパ3大陸を背景に書かれた人種問題をあつかった長編『アメリカーナ』で全米批評家協会賞を受賞。

新聞も雑誌も様々なメディアが、チママンダの小説の書評合戦をはじめた。



「フェミニスト」の印象を書き換えた作家


チママンダの作家としての才能はさることながら、講演活動も頻繁に行っている。

2009年のTEDトーク「シングルストーリーの危険性」は、映画界やファッション界で話題となり一世を風靡した。

3年後の「男も女もみんなフェミニストでなきゃ」というTEDトークは今でも人気があり、ビヨンセがアルバムの中でチママンダの講演の一部を織り交ぜた。

スウェーデンでは16歳の子ども全員に講演内容の冊子が配布されたという。驚きだ。

日本語訳付きの動画を貼っておくので、ぜひ見てみてほしい。



彼女のTEDトークが注目される以前「フェミニスト」という言葉は、男性嫌悪の要素も含んでいる印象があった。

歌手や芸術家も「自分はフェミニストではなくヒューマニストだ」と発言していた。


だがこの風潮は、たった一夜で塗り変えられことになった。

歌手のビヨンセが、MTVでチママンダのスピーチがサンプリングされた曲を「FEMINIST」の文字を掲げてパフォーマンスをしたからだ。


フェミニストは嫌悪や偏見ではなくクールな思想だ。

パフォーマンス直後から、人気セレブや著名人たちが自分はフェミニストだと名乗りを上げはじめた。



何度も書き換えて進化した小説


『何かが首のまわりに』は20ページ程度の短編だが、2001年に発表された『You in America』(邦題:『アメリカにいる、きみ』)を何度も書き換えたものだ。


ラゴスからアメリカへグリーンカードの権利を得て移住した若い女性が、エクストラ・ヴァージンオリーブオイル色の瞳の白人男性と親しくなるが、2人の育った境遇があまりに異なるためギャップが埋められずにいる。

繊細さと埋められない切なさで惹きこまれる、彼女らしさが詰まった作品だ。

チママンダが来日した際に、松たか子によって朗読されたことでも話題となった。


私は生涯を通して女性が働きやすい世の中を作っていくことを目標の一つとしてきた。

その気持ちは今もこの先も変わらない。


このコラムをここまで読んでくれた方は、きっとこう自問しているだろう。


自分はフェミニストなのか?


チママンダの「男も女もみんなフェミニストでなきゃ」のTEDトークの言葉を記しておく。


「私自身のフェミニストの定義は、そう、ジェンダーについて今日だって問題があるよね、だから改善しなきゃね、もっと良くしなきゃ、という人です。

女も男も、私たち「みんな」で良くしなければいけないのですから。」*1





参考文献:

河出文庫『何かが首のまわりに』チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ


引用元:

*1 河出書房新刊『男も女もみんなフェミニストでなきゃ』チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ


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