「運」の正体を知りたいなら
- Hiroko
- 2022年7月7日
- 読了時間: 4分
執筆者:Hiroko
運がいい、悪いの違いって何?
マイナス思考からプラス思考になるにはどうしたらいい?
努力は必ず報われるのか?
誰もが一度は、いや、人によっては終始考えているをこれらの疑問の答えは、
『運転者』という小説の中にあった。

「なんで自分ばっかりこんな目に遭わなきゃいけないだ...」
仕事も何もかもうまくいかない不運続きの主人公、岡田の目の前にタクシーが近づいてくる。
このタクシーの運転者は、超能力者のようにお客の考えていることや悩みを言い当てる。
このタクシーは、お客が連れて行ってほしいところに車を走らせるわけではない。
お客の人生の転機となる場所に連れて行ってくれるタクシーだ。
しかもこのタクシーは、走るほどメーターの数字が減る仕組みだ。
7万円近くを指しているメーターが無くなるまで乗り放題だという。
あの日あの場所にいたことが人生の転機だった、ということは数えきれない。
あの会社に勤めていなければ親友に出会うことはなかったとか、
たまたま手に取った本で人生観が変わり起業したとか、
普段は滅多に行かない飲み会に出かけて知り合った女性と結婚した、とか。
運が劇的に変わる時や場が人生には多々あるものだ。あなたにも経験があるだろう。
運が良い、悪いって何?
過去の出会いと選択が今に繋がっているのはわかる。
だが、世の中には運の良い人と運の悪い人が存在するように見える。
その違いはどこにあるのか?
「いいですか、岡田さん。運は後払いです。何もしてないのにいいことが起こったりしないんです。ポイント貯めてないのに何かもらえますか? 誰もそんなこと、期待しないでしょ。でも、運となると、貯めてない人ほど期待するんですよね」*1
運を使う、という言い方をするが、運を貯める、という人は少ない。
お金は使う、貯めるというのに、なぜ運は使うばかりで、貯めると言わなかったのだろう。
「じゃあ、ついてる奴は、そうじゃない奴と同じように頑張っているように見えて、実は運を貯めてたってことか?」
「そうですよ。貯まった運を使うとき、周りから『ついてる』って見えてるだけです」*2
どうしたら運は貯まるのか?
この運転手によると、頑張っても報われない時は、運を貯めている時らしい。
こう考えると、報われない努力はない気がしてくる。
ただ、どこか釈然としないものが残る。
朝の満員電車に疲れ切った人が目立つ帰宅ラッシュ…
笑いたくても笑えないことがある。
どうやったらいつも機嫌良くいられるのか?
運を貯めるのか垂れ流すのかの違いは、機嫌良く、笑顔でいられるかどうかだという。
基本姿勢が不機嫌の人には運は貯まらない。
そして、できる限り損得から離れてみること。
本当のプラス思考とは?
私はこの小説を読むまでプラス思考という言葉が嫌いだった。
嫌なことが起こるとマイナスに考えてはダメだ!と無理矢理プラスに考えようとするけどやっぱり引きずってしまう。
その度、自分はなんてネガティブでマイナス思考なんどと自己嫌悪になる。こんなことを38年間繰り返してきた。
だが、本当のプラス思考とは一瞬で考えを変えることをさすのではないらしい。
自分が頑張ろうとするときは少なからず他人の影響を受けている。
家族のために頑張ろう、あの人も頑張っているからもう少しだけ頑張ろう、というように。
「実際、世の中は誰かが頑張る姿からもらったエネルギーの集合体なんですよ。結果からもらったエネルギーの集合体じゃない。」*3
「世の中の人はみんな、そうやって誰かの努力する姿にエネルギーをもらって自分を動かしているくせに、こと自分が努力をするということになると、運にしても成果にしても、〈今の自分〉という、ものすごく狭い世界の、短い期間でしか判断しないので、〈運が悪い〉〈努力は報われない〉と簡単に結論づけてしまいます。でも、実際に今の自分がやった努力の成果が自分に対して表れるのは、普通の人が考えているよりもっとずっとあとになってからです。それこそ十年とか、場合によっては百年とか……」 *4
私たちが運がいいと感じる時は、命拾いしたと思うときは、
自分の貯めた運だけでなく何代も前に生きた先代たちが、徳を積んで貯めてくれた運を使わせてもらっていたのかもしれない。
そう思うと、この先の生き方に迷いがなくなる感じがした。
いま起こっていることが人生のターニングポイントがどうかなんて、未来の自分でないとわからない。だったら、いま起こった悪い出来事(に思えること)も、プラスかマイナスかなんてわからない。
起こった事柄を、必要な経験に変えていくのが良い人生のはずだ。
一瞬で気持ちを切り替えたり、都合の良いイメージをするのがプラス思考ではない。
これから起こることではなく、起こったことに対してプラスに考える。
もし、どうしても自分の努力が報われないと感じるなら、この努力の分だけ運がたまって未来の自分か次の世代が幸せになると考える。
誰よりも運を貯める生き方をしていて誰よりも運が良さそうなのに、自分が貯めた運の半分くらいで生きている。
まだまだ次の世代に運をシェアできる。
そんな生き方は、最高にカッコいい。
引用元:*1,2,3 ,4株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワン『運転者』喜多川泰
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